登場人物

祐一
山本祐一(34)
印刷メーカー営業職 正社員(勤続10年)
通勤に不便なことだけが不満。
休日に家族でアウトドアを満喫するのが一番の楽しみ。
紗希
山本紗希(28)
医療事務 パート
子供たちが騒ぐため、マンションでの苦情にストレスを感じている。
引っ越すなら絶対に一戸建て。
はじめ&のぞむ
山本はじめ(4)・のぞむ(2)
幼稚園・保育園
とても仲良し。
最近は兄弟での鬼ごっこに夢中。
中島
中島(?)
不動産会社営業職
泉州生まれ泉州育ち。
不動産業界一筋の営業マン。

午後10時、事務処理に追われ、やっとの思いで仕事を終え急いで南海電鉄に飛び乗る。
吊皮を持ち、ふと見上げると不動産物件広告が目に入った。

『堺駅徒歩9分。花と緑に囲まれた暮らし4,500万円から!!』

祐一
あぁ、もっと収入が多かったらこんな家にも住めるんだろうな。

私【山本祐一】は印刷メーカーの営業職で、もうすぐ勤続10年になる。
妻「紗希」と長男「はじめ」、次男の「のぞむ」の4人家族で賃貸マンションに住んでいる。

薄暗い帰り道
国道を越えた所に私の自宅マンションがある。
自宅までは電灯が少なく暗い夜道を通らなければならない。
泉佐野駅より徒歩17分。
自宅までのその絶妙な距離が、疲れた体をより一層疲れさせる。

築24年のそのマンションは古く、エレベーターはあるものの薄暗く、人を遠ざける雰囲気を醸し出している。

5階の玄関を開けると、既に妻と子供たちは寝て静まり返っていた。

ダイニングテーブルに置いてあった冷めたおかずを温めていると妻が起きてきた。

紗希
おかえりなさい。今日もご苦労様。

妻は、私が仕事から帰ってくると、今日の出来事を報告してくれる。

紗希
今日、また下の階の人に怒られたの。ドンドン走る音がうるさいって。

子供なんだから少しくらい大目にみてくれたっていいじゃない。

これで何回目かしら…。子供達にドンドンしちゃダメって言っても、なかなか言う事聞いてくれないし。

下の子供がタッチ出来るようになり兄弟ではしゃぐことが増えた頃、下の階の住人がちょくちょく苦情を言ってくるようになった。
これから子供が大きくなるにつれて、お隣や下の階に気を遣うことが更に増えるのかと思うと、私も若干のストレスを感じていた。
実際に面と向かって注意される妻のストレスはそれ以上であることは容易に想像できる。

紗希
ねぇこれ見て!

ポストに広告が入っていたの。新築一戸建てが月々88,635円の支払いで買えるって。

今ここ月9万も払ってるでしょ。新築で今の家賃と同じくらいで住めるなら思いきって家を購入しない?

一戸建てなら下の階に気を遣うこともなくなるし、それに賃貸なら手元に残らないけど、持ち家なら財産として子供達に残せるでしょ。

祐一
うーん。そうだなぁ……。

持ち家は財産、賃貸は捨て家賃。
それは私も以前から考えていたことだ。家賃より安い支払いなら誰だって新築に住みたいに決まっている。持ち家は私の夢でもある。庭のある家に家族で楽しく幸せに暮らせたらと何度考えたことか。

ただ、年収450万円の自分に住宅ローンが組めるのだろうか?
頭金はいくらくらい入れればいいのか?
住宅ローンの他にも税金など賃貸では支払わなくてもいいお金がでてくるのではないか?

最終的には住宅ローンや金銭面のことばかりを考えてしまい、不安な気持ちになって諦めていた。

祐一
まぁ、もう少しゆっくり考えてみようよ。子供のことでこれからお金もかかることだし。

いつもならこれで違う話題へと切り替わるはずだった。
が、今日の妻はいつになく食い下がる。

紗希
いつもそうやって先延ばしにするじゃない。

お金がかかるのはわかってはいるけど、下の階から苦情がくるのは本当にストレスよ。

あなたは直接言われていないからわからないかもしれないけど、怖い顔して怒られるのは本当に嫌なんだから。

祐一
それはそうだけどローンとか……。
紗希
それにお金だって今より安い支払いで住めるなら今よりもっと貯金が出来るかもしれないじゃない。

話を聞くだけでもいいから、直接この『関西ホーム』に行って詳しく聞いてみようよ。

お金のことも何かいいアドバイスがもらえるかもしれないじゃない?

祐一
……。
紗希
それにホームページ見てたら泉佐野でも色々あるみたい。

出来れば学校が近いところがいいのよね。

今のところは国道を渡っていかなきゃいけないから心配だし。

それに、あなたさえ良ければ実家から近いところがいいの。

祐一
おぉ、これはかなり本気だな……。

妻の実家は同じ市でも少し離れた所にある。
子供が熱を出した時など仕事を早退や休まなければならず、会社に気を遣うので熱を出した時は出来れば親に見てもらいたいと考えているようだ。
元々下の子を出産するまでは正社員でバリバリ働いていた。
下の子の出産を機に仕事を辞め、家の近所の診療所で医療事務として短時間のパートに出ている。
専業主婦が性に合わず、出来る事なら正社員で働きたいと思っているらしい。

紗希
子供が熱を出した時だけでも親に見てもらえたら、私ももっと働けるし、その分もっとお金を貯めることだってできるのよ。
祐一
うーん……。でも不動産会社の営業ってしつこいって聞いたよ。
紗希
そうねぇ、そうなったら困るわぁ。

でも、何もしなかったら今のままだもの。

しつこい営業が嫌なことは事前に伝えておけばいいんじゃないかしら。私に任せておいて!

妻はそう言うと私の返事も聞かず、早々とスマホからメールで問い合わせをしている。

紗希
『ポストに入っていた新築一戸建ての広告のことで話を聞きたいです。

あと、お金のことも色々知りたいのですが、次の日曜日お伺いできますか?』

 

 

翌日、関西ホームから妻のスマホにメールが届いた。
関西ホームからの返信

中島
『この度は、ホームページよりお問合わせ頂き誠にありがとうございます。

今回担当させて頂きます営業の中島と申します。宜しくお願い致します。

早速ですが、次の日曜日ご案内可能です。

お時間等教えて頂けますでしょうか?』

紗希
『では13時にお願いします。お話を聞きたいだけなのですがいいですか?

あと、仕事とか色々時間に制約があるので電話や訪問などは控えてほしいです。』

中島
『お返事頂きありがとうございます。

お話だけでも全然かまいません。お気軽にお越しください。

それでは日曜日の13時にお待ちしております。

また、当社では執拗な電話や訪問は行なっておりません。

お客様のご都合のよい時間帯などを事前に教えて頂ければ、その時間にご連絡させて頂きますのでご安心ください。』

とりあえず話を聞くだけということで、次の休みに関西ホームに行くことになった。

第二章「土地を探して ~土地選びのポイント~」へつづく

執拗な電話営業や訪問は行なっておりません!

関西ホームでは不動産営業で多くの方が心配されている必要以上の執拗な追客は行なっておりません。

事前に電話もしくはメールにてご都合をお伺いしてから訪問などを行うようにしております。

また、物件のご案内だけではなく、住宅ローンや金利などのお金にまつわるご質問や建築に関するあらゆるご質問にお答え致します。

お気軽にお問合わせください。